好きになっても、いいですか?


「なっ……にするんですか!」
「へぇ?威勢いいんだね。でも――」


麻子よりも背の高い中川は、麻子に影を作り、容易にデスクの上に押し倒す。
そして麻子の両手首に手を当て、顔を近づけた。


「非力だな。女性らしくていいことだ」


間近で見る中川は、この状況に似つかわしくないくらい柔らかな笑顔。
その顔で麻子に囁くと、ゆっくりと首筋にキスを落とした。


「――――やッ……」


何でも言えて、何でも出来そうな麻子だが……やはり、腕力は人一倍ない為に、どうにも中川に抗えない。


「……――っ」


加えて、いつも威勢がよく生意気な麻子も、この状況で簡単に立ち向かえるほどの強さは持ち合わせてはいなかった。


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