好きになっても、いいですか?


「どうかしたか?」


先程の中川の件で、麻子はまだあの緊張を引きずっていた。
そんな麻子の変化に、純一はすぐに気が付くと、麻子の背後から声を掛けたのだが――。


「きゃっ……!あ、あの。も、申し訳ありません。なんでもないです。お茶を入れてきますから」


麻子は悲鳴を上げてしまい、それを誤魔化しながら慌ててその場を去って行った。


「……?なんなんだ一体」
「……」


同室にいた敦志は、今回はただ黙っていただけだった。

給湯室へ向かう麻子は、純一とのこともまた思い出しては頭を横に振った。


(もう……昨日といい今日といい……厄日が続くんだから)



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