好きになっても、いいですか?
なんの汗かわからないものが、純一の額を濡らしていた。
恐る恐る、敦志が続けて麻子に聞いた。
「せ……芹沢さん、では日時も――?」
「はい。
『日時9月30日、午後2時より午後3時。場所は笹塚プリンスホテル“鶴の間”返信は8月30日までに』と」
信じられない――――。
純一と敦志はその一言だけだった。
たったあの一瞬に見ただけの文面を、全文とまではいかないが殆どを記憶している。
ただの偶然という言葉では済まされない。凛とした声、姿勢で伝えた麻子の姿は、敦志だけでなく純一の目にも焼き付いた。
「くっ……9月30日、午後2時から……ですね。」
敦志は我に返って手帳を開き、麻子の言った日時をメモにとった。