好きになっても、いいですか?
「ああ、藤堂さん。何かお話があったんですよね?」
克己が話の軌道修正をかけて純一にそう言うと、純一は少し話づらそうに視線を克己に向けた。
「……差し出がましいかとは思ったのですが……」
神妙か面持ちの純一に、克己は何事かと思い、真剣に向き合う。
純一が続けた話を聞きながら、克己は少し辛そうな、悲しそうな視線を向けると、最後は目を閉じて黙って聞いていた。
純一の話に克己が答え、その話が終わると、純一はすぐに椅子から立ってお辞儀をした。
「もう、行かれるんですか」
「はい、朝食も運ばれて時間が経ってしまってますし。本当に申し訳ありません」
「おそらく、もう少しで麻子が来ますよ」
「……だから、この時間に伺ったんですよ」
「はは……わかってましたよ。お花、ありがとうございました」