好きになっても、いいですか?
(ほんとキレイ……この黄色の花、なんて言うんだろう。ていうか、誰がこんな素敵な花束を……)
花の贈り主を模索しながら、高さを考えて花瓶に生けていく。
その時、麻子のポケットにある携帯電話が振動した。
「えっ?」
麻子は電源を切ることを忘れていた焦りで、慌てて電話を手にした。
すると、ディスプレイにはまたもや知らない番号が表示されている。
(早乙女さん……はこの間登録したし……一体、誰?)
周りをきょろきょろと見渡して、公衆電話の並びにある携帯OKという看板を見つける。生けた花をそのままに、急いでそのスペースに掛け込むと、恐る恐る電話を耳に当ててみる。
「も……もし、もし?」