好きになっても、いいですか?


ピリリ、とメール受信した携帯を手に握り、麻子はとりあえず駅へと向かう。

その着信の主は、おそらく先程メールをすると約束していた敦志だ。

たまたま、というか主にパンツスタイルを好む麻子は、レジャーに急遽参加するには困らない格好だった。

強いていえば、足元のパンプスがスニーカーであればよかったのかもしれない。

カツカツと靴を鳴らし、信号で止まった時にメールを開いた。


「……え?」


メールの詳細を見て、麻子は動揺する。

それは信号が青になったのも気が付かずに、一度見送ってしまうくらいに。


――ドクンドクンドクン、と、立ち止まっているはずなのに激しい動悸がする。

麻子は目を瞑ってゆっくりと息を吸い、細く長く吐き出すと、再び変わった青信号を見て靴を鳴らし始めた。


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