好きになっても、いいですか?
ドサッ、と騒々しい音が聞こえたかと思えば、視界が一気に暗くなる。
「……さん!!」
「芹沢さん!!!」
(周りが、騒がしい……)
でも、今の麻子には、周りがなんて言っているのかは何一つ理解できない。
聞こえるのは――――……。
時たま岩にぶつかって水しぶきをあげる、川の水の音だけ。
どんどん、その音が強くなって、流れが速くなって麻子の意識が飲み込まれてく――。
(――目を開けるのが、怖い)