好きになっても、いいですか?
「きゃぁぁ!?」
「どうし……せっ芹沢さん??!」
近くにいた麗華は、なにか知っていたはずにも関わらず、見事な演技で麻子を心配する。
そこに誰よりも早く駆け寄った人物――――。
「大丈夫ですかっ?!」
野次馬をかきわけて、敦志は麻子の呼吸を確認すると、ゆっくりと抱きあげた。
そして周りの目を気にもせず、その場から離れた木蔭に移動させた。
そんな姿を誰もが見て、心配とひとつの想像をしてしまう。
“敦志にとって、麻子は特別な存在なのでは”、と。
しかし今はそんなことを言っている時じゃない。
けれど、皆、心ではそんなことを思っているのもまた事実だった。
そして、その様子を見ているのはもう一人――――。