好きになっても、いいですか?
rival:恋敵

01


そこに立っていたのは、敦志の記憶ではここ最近懇親会に一度も参加していない純一の姿だった。

その純一は、なぜか少し息が上がっていて、額には汗が若干滲んでいる。


「……ちっ。バカか、この女は――――」


純一は麻子の顔を見て一言漏らした。
そんな純一の様子と言動を目の当たりにして敦志が言った。


「もしかして――――こうなることを知っていたんですか?純一くんは」


麻子にタオルを掛けて、敦志は純一を見上げて問う。
純一は視線を麻子から敦志に移すと、珍しく目を泳がせて言葉を濁した。


「――俺は……俺には、関係ない」


そう言ってから、また麻子に視線を落とす純一を見て、敦志は純一が麻子に対して何かを燻ぶっているのがわかった。

けれど、敦志は自分のメガネに手を掛け、外しながら純一に言った。



「じゃあ、オレが貰ってもいい?――純一くん」


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