好きになっても、いいですか?
サァァ……と、さっきよりも幾分か流れが穏やかになった川の音が二人の間を流れた。
しかし、今の純一の心は、逆に激流のようになって渦巻いていた。
やや暫く、純一と敦志の視線がぶつかり合う。
そしてとうとう純一が口を開いた。
「……好きにしろ」
その言葉に対して敦志も答える。
「――――本当に、いいんだね?」
「別に、俺の許可はいらないだろ。全てはコイツ次第なんだから」
この一瞬、二人は“社長”と“秘書”ではなく、“従兄弟”同士……いや、“男”同士になっていた。