好きになっても、いいですか?

02



(――額が、冷たい……。この人影と手は……?)


「しゃ……ちょ、う?」


薄ら目を開けて、麻子が言った。

ぼやけた視界から見えてきたのは黒髪で、メガネを掛けて――――。


「残念」
「さっ、早乙女さん!?」


そこにいたのは、心配そうに覗きこむ敦志の姿だった。


「あ……れ?私……。どれくらい、こんな――」
「心配しましたよ。時間にして10分程度ですが、救急車を呼ぼうかどうか迷ったくらいです」
「きゅっ……救急車!いえ、大丈夫です。すみません!」


麻子は慌てて起き上がって、事の重大さに気付いて謝罪する。



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