好きになっても、いいですか?
敦志の車に乗ると、ゆっくりと車は走りだした。
「あの、駅までで結構ですから」
「芹沢さん……」
敦志はちらりと麻子を向き、名前だけを口にした。
けれど麻子は、敦志の目と雰囲気で何をいわんとしているかわかったので、それ以上何も言わなかった。
少しだけ開けてくれている窓から流れ込む風が、頭を冷やしてくれて心地いい。
やっと麻子が落ち着きを取り戻した頃、敦志が口を開いた。
「……芹沢さんは、純一くんのことをどう思ってる?」
相変わらず聞きなれない口調に、ただでさえドキリとさせられているのに、内容がまたそれを上乗せする。