好きになっても、いいですか?

03



「昨日は早乙女さんが誤算でしたね」
「――まぁ仕方ないわ。終わったことですもの」
「でも、あの女の秘密を握っているのは確かですもんね」

「――追い詰めて、辞めさせればいつか私も……」




怪しげな会話に水をさすように、プルルと内線が鳴り響く。



「はい、第二秘書室――」


美月が率先して受話器を手に取り、その内線を受けた。


「……はい?あの、いい加減覚えてください。ここは第二ですから」


ガチャッ、と、普段は音を立てないように置く受話器を、苛立ちと共に美月は乱暴に音を上げた。



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