好きになっても、いいですか?
「でも、あなたのことを知れば藤堂社長も距離を置くんじゃないかしら。――――自分の母親を殺した、だなんて」
麗華は、物騒な内容なだけに声を潜めてそう言った。
しかし、麻子にはしっかりと聞こえる声で。
「ああ、あくまでも“噂”だと思ってましたの。でも、昨日の様子だとどうやら……」
「……秘書ってそんなにヒマな仕事ではないと思ってましたが」
麗華の言うことに反応すれば、すぐに噛みつかれるだろう。
麻子はなんの反応もせずに切り返し、麗華を見据え、答えた。
「――――!!!」
これには一瞬、綺麗な顔を歪めて言葉に詰まる麗華だったが、さすがにタダじゃ終わらせない。
「あなたの代わりなんていくらでもいるわ」