好きになっても、いいですか?
「近々あなたを飛ばして、その婚約者のお嬢さまでも側近にさせるかもしれないわね」
自虐の意も込めて、麗華は吐き捨てるように言う。
「とにかく、あなたはこれ以上出しゃばったりはしないことね。もしも何か変な動きでもしたら……ジョーカーはこちらが手にしていることを、くれぐれもお忘れなく」
麗華が苛立ち気味に席を立つと、料理も運ばれぬ前に、お金を置いて店を出てしまった。
麗華とすれ違うようにして、店員が2人分のランチを運んでくる。
「お待たせいたしましたー」
「あ、はい……」
(2人分をどうすれというのよ)
麻子は、目の前に並べられたパスタとサンドイッチを見て溜め息を漏らした。