好きになっても、いいですか?
「私は何から手伝えば?」
「ああ、ではこれをお願いできますか?」
そんな純一のことなどお構いなしに2人は会話を続ける。
とはいえ、既にもう業務上の会話だった。
しかし、どうしても麻子の敦志を見る目と、敦志のあの日の言葉が純一を不安にさせる。
雪乃を見ても、到底こんな思いなんかにはならない。
世の中全ての女に、なにも感じず、期待せずに生きてきた。
(でも、どうだ。
今も、この前も――アイツが敦志へ向ける笑顔を見る度に、頭がおかしくなりそうだ。
――――もう、やめだ)