好きになっても、いいですか?
past:過去

01


***


『あの女が、消えた』


純一が人形のような表情で、敦志に一言そう言った。



敦志が16、純一は14の時だった。



二人は従兄弟。

母達が姉妹で、近所にいたからよく一緒に過ごしていた。



『敦志!』



敦志は、2つ下の純一に呼び捨てにされるのは普通のことで、特に何も思ったりはしなかった。



『ああ、純一くんきてたの』



2つ上のはずの敦志が、“くん”付けするのは彼らの家庭に理由があったから。


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