好きになっても、いいですか?
さらに時は遡り、敦志が13、純一が11の頃―――。
『敦志!勉強教えてくれ!』
『いいけど……家庭教師がついたんじゃないの?』
『俺は、敦志がいい』
純一はそういって、敦志の狭いアパートの前によく座って待っていたものだった。
『また、警察沙汰になったりしない?』
『……大丈夫だろ。もう』
その日よりも前に、同じように敦志のアパートに純一がいたとき。
いつもより遅くまでアパートに滞在していたら、警察がサイレンを鳴らしてやってきた。
『誘拐疑惑だなんて、バカかっていうんだよ』
その事件を思い出しながら、純一はそう言ってノートにペンを走らせていた。