好きになっても、いいですか?
『同じ姉妹でも、こんなに違うものなんだな』
ぼそっという純一の言葉に、食卓の時間が一瞬止まる。
そして何もなかったかのように、純一が『おかわり』と、時間を再び動かすのだ。
中学生にもなれば、敦志は薄々事情は察知していた。
……いや、本当はもう少し前から気付いていた。
純一の家族のことを――。
彼の家は、藤堂という名の実業家。
それも代々受け継がれている大きな家だった。
彼はその家の“長男”として産声をあげた。
後継ぎとしてだけ必要とされた、誕生だったことを。