好きになっても、いいですか?

そうして半ば無理やり入籍をして、すぐに純一が産まれた。


しかし、彼女は産まれて一度も純一を抱くことなく、乳母に任せて自身は自由に暮らしていた。


藤堂も結局は男。

彼女は3年後、再び身ごもる。


そんな環境で育った純一は、当然、母親の愛情を知らない。


純一が幼稚園に上がる頃、敦志は初めて純一と会った。


『お前、なんなんだよ。最近よく俺のこと見に来てんだろ。金か?』


敦志にとって、衝撃だった。

5歳前の子どもが、大人顔負けのセリフをすらすらと言うのだから。


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