好きになっても、いいですか?
そんな出会いではあったが、敦志と純一は心を許せ合う“兄弟”になった。
でも、度々敦志は母に諭される。
『乱暴しちゃだめよ』
『呼び捨てなんかしちゃだめよ』
『私達と違う世界の子だから、ずっとは一緒にいられないかもしれないわよ』
敦志はそのひとつひとつの意味を、歳を重ねるごとに理解していった。
けれど、純一はそんなことなどお構いなしで、敦志を慕っていった。
そして、ある日――――。
『あの女が、消えた』
純一が敦志にそう言った。
『金を持って』
いつか、そうなるんじゃないか、と敦志は正直思っていた。
勿論、それは純一も思っていたことだ。