好きになっても、いいですか?
『はじめまして。純一くんを教えてます、安積千紗です』
それから間もなく、敦志も対面する機会があり、その女性に会う。
『アヅミチサ』と名乗った彼女は、敦志と同い年。
肩につく程のストレートの髪で、清楚な服装が、いかにも優しく包み込んでくれるように印象づける女性だった。
『あ、はじめまして。早乙女です』
そう挨拶したときの、千紗の視線に敦志は違和感を感じた。
『敦志悪い、ちょっと』
純一がいなくなった、その少しの時間だ。
『早乙女くんて、名前はなんて?』
『え……敦志です、けど』
『ふぅん……ね。彼のおうちってかなり資産家よね?』
『……』
『イトコなら、あなたのおうちもそうなのかしら』
そこまで言うのを聞いて、敦志は沸々と怒りがこみ上げてきた。
この女は、演じている―――