好きになっても、いいですか?

『いや。オレの家は一般家庭だから』

『なーんだ。そうなの?残念』


(コイツはヤバイ。

こんなにも、人格や人相までの印象を変えられる“女”。

一刻も早く、純一くんから遠ざけなければ――……)


『私、あなたの方がタイプだから、同じような家柄なら、あなたにしようと思ったのに』


クスリと笑いながら水を飲む千紗は、天使のような悪魔。


『……今すぐ、純一くんから離れろ』

『えぇ?やーよ!やっとイイ感じになってきたんだから!』

『好きじゃない癖に』

『好きよ?――お金持ちのおぼっちゃま!』



その言葉が終わると同時に、どこからかガンッ!っと激しい音が聞こえた。


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