好きになっても、いいですか?


それは甘美的な時。


既に解かれている髪を、掻き上げるように大きく熱い手が頭を撫でる。


少し屈んで近くなった瞳は、変わらずに澄んでいて情熱的。

数秒間、そのままお互いにその瞳を見つめ合う。


そして、そのままゆっくりと背伸びをする。



一度触れた唇が離れると、純一がそれを阻止するかのようにまた重ねにいく。



自然と麻子が背中に回した手の感触が、堪らなく愛おしいものになる。

麻子もまた、自分の腰に回される手に立っていられなくなるほどに力が抜ける。


理屈じゃない。


全身が、血が、細胞が。
お互いの存在を欲している――。




危険だと、何度も頭でわかっていたはずなのに―――。

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