好きになっても、いいですか?
「社長があの女に手を貸した……?!」
麗華は美月の“報告”に、信じられないという感じでそう言った。
それもその筈。
純一は、決して女性に触れることはおろか、必要以外声も掛けない人間だ。
目の前にうずくまっている女性がいたところで、彼は見えてないかのようにその場を通り過ぎるだろう。
百歩譲って、自分の手を伸ばすことはせずに隣にいる敦志に声を掛けるかもしれない。でも、それだけだ。
そんな純一の人格を、秘書室に長年いる麗華が知らないわけがない。
だからこそ、衝撃の事実なのだ。
まさか、女性に自らの手を貸し、まして助けるなんて――――。
「……」
そして、美月はそんな麗華を見つめながら思うことはひとつ。