好きになっても、いいですか?
「次期社長の息子さんは――?」
「ああ!すみませんね。ちょっと出張中なんですわ」
純一の質問に、男性は豪快に笑いながら大きな声で返す。
(ああ。だから、この男性と直接会う機会がなくなるのね)
一通り資料を広げて何やら二人が話をする。
そしてその話がようやく済んで、純一が席を立った。
「それでは」
「私はギリギリまで現役で働いているから、いつでも顔を出して下さいよ」
純一が頭を下げた時に、その社長はそう言ってパソコン画面を見せた。
「ほら。これ、今やってる仕事なんだけどね」
その回された画面を、純一を含め全員が目を向ける。