好きになっても、いいですか?


「早乙女様をお呼び立てするだなんて……失礼な真似を致しまして、申し訳ございません」


美しい最敬礼と共にそう言ったのは……。


「一体、なんの用件でしょうか――――宇野さん」


敦志が珍しく、昼休みと同時に席を立ったのは、麗華にメールで呼び出されていたからだ。
普段、滅多に人の来ない資料倉庫に二人はいた。



「……出過ぎたことだと承知の上で……早乙女様に、お話が」
「話?」


敦志にすると、正直あまり乗り気ではなかった。
ついこの前の懇親会の麻子への態度。加えて、何をしたのかまではわからないが麻子宛にメールを送っていることも知っている。
そんな敦志は、当然、麗華のことをよくは思っていなかった。


しかし、麗華が次に言った言葉に、どうしようもなく気になってしまう。



「―――芹沢麻子さんの、秘密を」



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