好きになっても、いいですか?


「失礼します」


社長命令の為、麻子はすぐに隣室の純一の元に来た。


デスクに向かっている純一を見てみると、頬杖をついて書類に目を落としたままだ。


麻子がデスクの前に立っても、すぐにはその視線は動くことをしなかった。


(え……?なに?急用かと思えば……。メール、見間違えてないよね?)


あまりに純一が自分のことを気にしないので、麻子も些か不安になる。

その時、頬杖をついている純一がそのまま視線を上げた。


(……この目が――


自分を狂わせる)


麻子は高鳴る動悸を抑えるように、静かに呼吸を大きくする。

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