好きになっても、いいですか?
「大丈夫か」
その一言で、麻子は目を丸くした。
その真意は、おそらくさっきの出先での件。
「は……い。やはり、先程はわざと――――」
「……あの人は、話し始めると長いからな」
(本当に、この人は何なの?)
この間まで、ただの部下だった自分に急に優しく声を掛ける。
それは、いつも見ている、敦志へ向ける目と同じ、優しい目で。
いくら今までロクに恋愛をしてこなかった麻子でも考えてしまう。
純一は、自分を想ってくれているかもしれない。
あの夜の2度目のキスが、麻子にそれを一層思わせる。