好きになっても、いいですか?
「麻子っ」
「あっちにはいかないよ!ちょっとさんぽしてくるの!」
「遠くへ行っちゃだめよ!」
(本当、うるさいんだから!おかあさん!
私はもうすぐおねえさんになるんだから、だいじょうぶなのに!)
こどもながらにイライラと、麻子は母の言うことを背中で聞いて歩き出した。
目の前に流れる、キラキラとした川を眺めながら。
川へは父とあとで入ろう。だから、ちょっとだけ探検してみよう、と、そう考えて林の中へと潜り込んだ。
暑かった陽射しが木漏れ日に変わり、肌を撫でる風が涼しさを感じさせる。
脇に咲いている見たこともない花を見て、そこに駆け寄った。