好きになっても、いいですか?
「わぁ!きれい!」
麻子は花が好きだった。
そして、麻子の母も、花が好きで。
だから、父は何かある日には、母に必ずと言っていいほど、花を買ってくる。
麻子の『花が好き』、は、母に真似てるところもあった。
そんな麻子は、最近こんなことを考えていた。
誕生日にはいつも、欲しかったおもちゃを買ってくれてたけれど、今度のクリスマスにはちょっと違うものをお願いしよう、と。
その『違うもの』とは……ネックレス。
それは、母の誕生日に父が贈っていたのを見て、羨ましく思ってそう心に決めていた、小さな計画。
(おかあさんばっかりずるいもん)
“もうすぐお姉ちゃんになるんだから”、と、最近はそればっかりでうるさい母。
そんな反抗心が、自分だって母みたいに――大人になりたい、と対抗心を燃やしていた。