好きになっても、いいですか?
麻子はパソコンの手を止めて、胸元のネックレスに触れた。
(本当に、よかった)
自分の背負う十字架の意味よりも、やはり大切な、母の生きていた証。
それはこれまでの麻子にとって、自分の命よりも大切なものだ。
そうして何度も指でその存在を確かめたのち、それを見つけて直し、首につけてくれた純一を想う。
(私、本当は彼のことを……)
途中まで心で呟いていた言葉をやめた。
純一には決められた人がいる。
自分には到底敵わなそうな、可愛らしい女性が――。