好きになっても、いいですか?

03



翌日も、麻子はなんら変わらない顔で出社して業務を始めていた。


その様子が、純一にはもどかしくも腹立たしくもあった。

“自分ばかりがこんな想いをしているのか――いや、そうではない筈なのに”、と。


一度踏み切った心は、二度とブレーキがきかない。

純一は、隣室にあの敦志ですらも、麻子と二人きりでいることが耐え難く感じていた。


そんな中、直接社長室の内線が鳴った。


「――藤堂だ」
『――――……』
「いや、ああ。今は私一人……5分だけ、時間を割いてやる」




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