好きになっても、いいですか?
(社長も早乙女さんも知っているからと言って、このまま甘えられるものじゃない……)
そんな理由も心にあるが、なにより自分の恋心の方がウェイトの大きい。
迷いがある、そんな今ならば――。
そう一人で考え込んでいた時だった。
ふわりと、純一とはまた違った穏やかな香りに包まれていた。
「オレじゃ、力になれない――――?」
そういう敦志は、いつしかの“秘書”ではない口調と顔つきで麻子を抱き寄せていた。
「君さえよければ、オレは――……」