好きになっても、いいですか?


「泰恵さん。泰恵さんならどうしますか?」


お昼になると、敦志とも純一とも気まずい雰囲気の麻子は秘書室を出た。
そして向かう先は、久しぶりに元部署の先輩・泰恵の元。


「自分のせいで仕事の妨げになるって?」
「……まぁ……そんなような理由です」


もぐもぐと庶務課の机を挟んで、麻子と向かい合いながら泰恵は少し考える。


「でも、仕事でもなんでも、誰かに迷惑はかけてしまうことは普通だから……サポートしてくれるっていうなら、今はそれに甘えてしまっていいと思うけど」
「その理由が、もしずっと改善されない理由でも?」
「麻子ちゃんに限ってそんなことないでしょう!出来る子だもの!」


あはは、と軽快に笑って泰恵は言った。


(本当の私は、全然出来る子なんかじゃないんだけどな)



< 321 / 445 >

この作品をシェア

pagetop