好きになっても、いいですか?
「じゃあ泰恵さん、突然すみませんでした。私、戻りますね」
昼休みが残り10分となった時に、麻子は弁当を包み直して席を立った。
そんな長身の麻子を、座ったまま見上げて泰恵は言った。
「麻子ちゃん。あなたをフォローしたいのは私も一緒だからね。だから、いつでもここにきて頼ってね」
そんな温かな言葉を掛けられたのは、本当に意外で……。麻子は目頭に熱いものを感じながらも、それを堪えて言った。
「……はい。ありがとうございます。ほんと泰恵さんて……お母さんみたい」
きっと、母もこんなふうに優しかったはず。
「なんて。仕事は麻子ちゃんの方が出来るから、私はもう何も手伝えないんだけどね」
「いえ。泰恵さんがここにいてくれるだけで、充分救われますから」