好きになっても、いいですか?
麻子の淹れてくれた、少しだけ薄めのコーヒーを口に運ぶ。
そして朝イチでするメールチェック。
一晩で意外に何件ものメールが来ているので、それを開いて確認するだけでも多少の時間を要する。
純一は、差出人から優先度の高いものを予想して開いていく。
その日、一番に目をひいたメールは総合病院の医師からだった。
(そうか)
正直、時期までは忘れていた。
「明日、か」
それは少し前に純一がその病院に乗り込んで、無理やり話をつけようとした麻子の父、克己の手術の行われる日であることを知らせるメールだった。