好きになっても、いいですか?
「失礼いたします。何度も申し訳ございません」
そこにタイミング良く、麻子が再び今日の日程を纏めた用紙を手にしてやってきた。
「休暇を取らなくてもいいのか」
「は……」
「明日だろう?手術は」
そう言われて麻子は止まってしまった。
手術の日を忘れている訳ではない。むしろ、その日が近づくにつれて、期待と不安が押し寄せてくるくらいだ。
やっと喉から声を絞り出すようにして麻子は答える。
「いえ……大丈夫です」
手術はもちろん心配だ。けれど、ずっとひとりきりで手術を待てるほどの精神状態でいられるかが不安だった。
それなら仕事をしていたほうがいいのかもしれない、と。
そしてもうひとつ。
純一への借りがある為、ということでもあった。