好きになっても、いいですか?

「今、帰社していきましたよ」
「ああ」


麻子が帰って行くのを見届けてから、敦志は純一に報告をしに来た。

純一は、その報告を受けて少し手を止めると何かを思い出すように考えた。それからゆっくりと席を立った。

そして、足元から天井までの高さの窓へと歩いて行くと、薄暗くなった外に映し出される自分を見て言った。


「明日、どんな顔をしてくるんだろうな」
「やはり、休暇は受け入れなかったんですね」
「想定通りではあったけどな」


窓越しに純一と敦志は目を合わせて話をしていたが、その後暫く静寂な空気になる。


「純一くん」
「敦志」



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