好きになっても、いいですか?


コツコツと、ヒールを鳴らしながら歩いて行く先は病院ではなかった。

いつも乗る地下鉄へは向かわずに、そのまま通りを歩いて行く。


麻子は腕時計を確認した。


(18時、か)


こんなことの為に、今日は残業せずに帰社できたのではないのに。

でも、病院に行く前に気になることは終わらせておきたい。

そんな自分の性格が改めて嫌になる。


麻子が足を止めたのは、それから数十分後。

大きな木々が立ち並ぶ公園内に入る頃には、既に日は傾いていた。


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