好きになっても、いいですか?

平日と言うこともあってか、公園には人影が見られなかった。

麻子は一人、近くに見つけたベンチに腰を掛けると空を仰いだ。


藍色に染まろうとしている空が、木々の枝の隙間から覗いて見える。

薄らと暗い空に浮かぶ雲の流れを目で暫く追うと、ゆっくりと目を閉じた。


目を閉じて浮かぶのは、父。

母、幼い自分――――そして


あの人。



そんなことを繰り返しているとあっという間に時間は過ぎて、時刻は20時を回ろうとしていた。


そんな時に、コツッと麻子の元に足音が近づいてきた。


「――――!!!」

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