好きになっても、いいですか?
「――なっ!?」
声を上げたのは麻子ではない。
目の前に現れた人物に驚きを隠せなかったのは麻子だけではなく、その人物も同じということ。
麻子は微動だにせず、口だけを開いた。
「――――う、宇野さん……!」
「せ、芹沢麻子?!」
二人は未だ、お互いを見たまま目を大きくしていた。
“なぜ”。
その疑問だけが、暫く二人の頭を支配する。
ザザッ、と二人の背後からさらに足音が聞こえてきた。
そして次の瞬間には、すでに麻子と麗華は何者かに身動きがとれないように捕われてしまっていた。