好きになっても、いいですか?
今朝、確認した純一へのメールの内容。
【本日、少し二人だけでお話する時間を頂けますか?
20時に応接室で待っています。
芹沢麻子】
アドレスも、間違いなく麻子のパソコンから送られてきていたこのメール。
それは前日に美月が中川を利用して忍び込み、作成したものだ。
純一は麻子に気があるはず。
そう思って、少し気があるフリをする内容を送れば、冷静さを欠いてやってくると、浅はかな作戦を立てたのだ。
「そもそも、今日、あいつがあんなメールをするはずがないんだよ」
自分の父の大事な時。
それに伴って、早く帰れ、と指示したはずの今日。
そんなことを麻子が絶対に言うはずはないのだ。
「あいつは、誰かとは違って、一度言ったことは忘れるはずのない、優秀な秘書だからな」
「――っ……」