好きになっても、いいですか?
麻子の言っていた言葉と、今の言葉で麗華は迷いながらも駆けだした。
「ちっ、バカが!」
タイミング悪く、電話が終わった男がすぐに麗華を追い掛ける。
麻子は地面から横になった視界で、必死に麗華の無事を願った。
「おい。お前、人の心配してる暇ねぇよ」
目の前の男が不気味に笑ってそういうと、麻子の顔をまじまじと見た。
そして、つっ、と頬に指を滑らせると男が口を開く。
「頼まれただけだから、正直乗り気じゃなかったけど……あんた綺麗だからラッキー」
(別に自分が汚れたとしても、どうってことはない。
どうせ、もう汚れているのだから。
――でも。
でも、どうせなら。こんな風に誰かに汚されるのなら、自分の手で、この命を終わらせた方がマシ)