好きになっても、いいですか?
03
横たわったまま、自分の足元を見ると、つい今まで自分に馬乗りになっていた男がのびている。
「まさか……何かされたんじゃ――」
少し乱れていた胸元から見えたネックレスを見て、純一が麻子に言った。
麻子は純一の言いたいことを察して、強く首を横に振った。
「……いいえ。社長のおかげで……大丈夫でした」
目の前の、近い距離にある純一の顔が、その瞬間に安堵した顔に変わったのを見た。
そんな小さなことに、麻子は胸がキュウっと締め付けられる。
「――あっ!!」
「どうした?!」
「宇野さん!」
「彼女はここですよ」
ホッとした後に麗華のことを思い出して麻子が声を上げると、後ろから草をかき分けるような足音と共に、また聞いたことのある声がした。