好きになっても、いいですか?
04
*
「おれよりヒドイ顔してるな」
面会時間はとっくに終わっているところを、頭を下げて5分だけ、と了承を得た。
そして、父・克己の病室に入るなり麻子が言われた言葉がそれだ。
「……そんな私のことなんて気にしてないで、自分の心配をしてよ」
相変わらず素直じゃない返しの麻子を見て、克己は苦笑する。
「……そのヒドイ顔の心配くらい、したっていいだろう」
「……なんでもないよ」
やれやれ、という顔をして克己は麻子に座るように促した。
すると、テーブルに置いてある卓上カレンダーを手にとって言った。
「もうすぐ母さんの命日だ」
麻子はその言葉にはっとした。
夏の日のことだった。その日は今年ももうすぐやってくる。
なのに、それを忘れていたなんて――――。
「おれよりヒドイ顔してるな」
面会時間はとっくに終わっているところを、頭を下げて5分だけ、と了承を得た。
そして、父・克己の病室に入るなり麻子が言われた言葉がそれだ。
「……そんな私のことなんて気にしてないで、自分の心配をしてよ」
相変わらず素直じゃない返しの麻子を見て、克己は苦笑する。
「……そのヒドイ顔の心配くらい、したっていいだろう」
「……なんでもないよ」
やれやれ、という顔をして克己は麻子に座るように促した。
すると、テーブルに置いてある卓上カレンダーを手にとって言った。
「もうすぐ母さんの命日だ」
麻子はその言葉にはっとした。
夏の日のことだった。その日は今年ももうすぐやってくる。
なのに、それを忘れていたなんて――――。