好きになっても、いいですか?
「お前が縛られているものと闘って、麻子が笑う顔を見るの、母さんはずっと待ってるんだ」
「そんな……私は……」
「せっかく、麻子を解放してくれる人が現れたんじゃないのか?やっと、今。そんな相手が」
克己は麻子の肩に手を置くと、細い指からは考えられない力で、ぐっと力を込めた。
“お前が必要だ”。
こんな自分でも、上辺だけでなく全てを知った上で存在を認めてくれた。
“俺も同じだ”。
決して安易に、気休めなんか言わない人――。
「努力して、頑張って、生きる」