好きになっても、いいですか?


「??!」


その声にならない驚きは、麻子ではない。
――純一だ。


どんなことにも冷静な純一が、この上なく動揺、そして驚愕している。

その理由は――――。



「大丈夫……じゃ、ありません」



麻子は小さくそう呟いた。
その声は、純一の胸の中から聞こえたのだから。


長身の麻子だが、華奢で、今にも折れそうな腕を純一の背中にぎこちなく回した。

純一は暫く何が起きているか分からなかったが、本能でその麻子全てを受け止めると、力強く、優しく抱き返した。
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