好きになっても、いいですか?


麻子はそっと目を開いた。

隣には、先程まで自分を抱きしめてくれていた人。


(……熟睡してる)


向かい合って寝ている麻子は、寝ている純一の顔をまじまじと見た。

男の人なのに長い睫毛、鼻筋は通っていて眉はきりっとしている。
健康的な色の肌が、良く見るとすごく綺麗で羨ましいくらいだ。


麻子は恐る恐る、純一の頬に手のひらを触れてみた。


(全部あったかい……)


触れても全くピクリともしない純一を見て、思わず笑みがこぼれた。

いつもはキレ者で、厳しくもあるトップ。
口を開けば失礼なことなんかを躊躇いなく吐きだす。

そんな彼の穏やかな一面を、今見てると思うと、なんだか不思議で自然と笑ってしまったのだ。


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