好きになっても、いいですか?
その足もとの紙を手に取り、目を凝らして見てみる。
そこには辞表と記されていて、飛び出した中身を見てみると自分の名前が書かれていて驚いた。
(これって……。ああ、多分、あの人か)
その仕業が麗華だとすぐに理解するが、今日のこともあり、しかも辞表の意は異論がないのでそのまま黙っていることにした。
ただ、ひとつだけ伝えておきたいことがあった麻子は、月明かりを頼りに鞄からペンを取り出して一文書き添える。
そしてまた元通りに封書にしまうと、それをそっとベッドサイドのテーブルに置いた。
純一の寝顔に触れるだけのキスをして、部屋を後にした。
「さようなら」